はむらぼのお気楽マンドリン講座 Copyright by Hamulabo

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マンドリン業界を知らない人も、良くご存知の方も

お笑い!!

業界用語の基礎知識

《関東地区編》

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 マンドリン業界って、ちょっと特殊でおたっきーな世界かもしれないです(笑)。でも、日本には、ずいぶんとたくさんの学生団体や社会人団体がありまして、業界特有の言葉使いや慣習があるのです。このコーナーは、そんな日本のマンドリン業界の一端をご紹介するもの。

 ただし、ここに掲載されている言葉等は、基本的には関東地区、慶応マンドリンクラブなどを中心としたものでして、より活発な活動をされている関西方面の慣習とは、まったく異なるかもしれません(苦笑)。また事実と反する部分も多かろうと思いますが、そこは冗句としてご容赦を(笑)。それにしても、本来の業界用語を解説するコーナーから、だんだんとリンク集の色彩も強くなってきたぞ(確信犯)。

第4版新着分

●まんどら【マンドラ】

 マンドリンよりもひとまわり大きく、音域も1オクターブ低い楽器。イタリア語でMandola、フランス語でMandore、通常は略してドラ。ヴァイオリン属ではヴァイオリンとチェロの間にビオラがあるが、これはチェロのオクターブ上の調弦(低いほうからC−G−D−A)。マンドラもマンドリン、マンドロンチェロの間に位置するが、マンドリンよりも1オクターブ低くG−D−A−Eと調弦する。マンドリン属の低音パートを受け持つマンドロンチェロの音域が、ヴァイオリンチェロよりも狭く、これを補う意味でこの楽器が定着したと思われる。細かく言えば、マンドラにはマンドラ・コントラアルト(ビオラと同じ調弦)と、マンドラ・テノールにわけられるが、通常マンドラといえばこのテノールをさす。
 おそらくどのような種類のオーケストラにも、類は友を呼び、それぞれのパートごとに独特の色分けができるが、マンドリン業界のドラパートは、先輩後輩の関係がしっかりしていることで有名(!?)。ある場合には、これが面倒見のよいパートとして、他もうらやむような強い結束感を生み出すが、一歩間違えると先輩が絶対的に君臨し、後輩がいぢめられる厳しいパートとなる(おいおい...笑)。ちなみに、1stは独立自尊、2ndはお子様パート、ギターはほんわかってイメージがあるぞ(笑)。

●まんどりんの音域【マンドリンの音域】

 低い音は、G線のGの音っていうのは明らか。高い方がどこまで出るか、という問題だが、物理的なフレットとしては、A=440hzの3オクターブ上(上第1線の2オクターブ上)のA音、29フレットまである楽器が多いと思う。もっともメーカーによって違うのでカラーチェなどの楽器ではそこまで高い音は出ないかも(詳しい方、情報求む!)。ただし、実際に音として実用的な部分は、せいぜい19フレットのH音(上第2間のHの音の1オクターブ上)くらいまで。そういえば、エネスコの「ルーマニア狂詩曲第1番」の練習番号29の9小節目に、29フレットのA音から半音ずつ下がっていくパッセージがあるが、これを正直に弾くと左指から煙が出てくるので(マンドリンの弦はスチール弦で、とても硬い)、500円玉をボトルネックのように使うとよい。なお、けちって10円玉でやるときっと失敗する。<追記>ヴァイオリンのフラジオレットのようなハーモニクス奏法は、マンドリンではほとんど実用的ではない。

●ごどちょうげん【5度調弦】

 マンドリン属は、弦をピックではじくため、弓でこするヴァイオリン属などで常識化している5度調弦がほとんどできない。マンドリン属でも弦の余韻で合わせることもできなくはないが、弓でこするほど明確な差を感じられない。このため、通常はギターなどで多用するハーモニクスでそれぞれの弦をあわせる。A=442hzなどを合わせた後、A線の7フレット目とE線の12フレット目(実音で上第3線のEの音)を合わせ、同様にD線の7FとA線の12F、G線の7FとD線の12F、最後にG線の4FとE線の7Fと合わせていく。なお、この調弦の際に、何回弦をピッキングするかで、上手下手がわかってしまうので要注意。もちろん、少ない数で合わせられる人の方が、耳がよく演奏も上手いといえますです(真実)。<追記>でも、最近は、ほとんどメーターの針で合わせる人が多くなってしまった...ため息。

●ふりょうげん【不良弦】

 調弦がうまくできないときに、「この弦、不良弦だ」といって逃げることができる(^^; マンドリン属の場合、調弦があわないのは、(1)開放弦の音程があわない (2)複弦の二本合わせがうまくいかない (3)複弦のオクターブピッチがずれる...開放弦で二本あっているものが7フレットくらいを押さえるとずれてしまう、というケースが大半だが、(1)は大抵ペグ(糸巻き)かペグへの巻き方に問題がある。(2)と(3)は、ほとんどが駒の位置がよくないことが理由。本当に不良弦というケースは、経験上、それほどあるわけではないと思うぞ(笑)。もっとも、マンドラやマンドロンチェロのような長くて太い弦になればなるほど、あたりはずれがあることも事実ですけど...

●げんをにる【弦を煮る】

 クリスタル・マンドリン・アンサンブル、某ドラ○下氏の荒技。学生オケや社会人オケでは、多くの人が演奏会ごとに1回〜2回弦を張りかえるが、一度張った弦をよみがえらせることができれば、高い弦(ヴァイオリンなどよりもはるかに安いけど)を何本も買わずにすむ。そのための工夫が、弦を煮ることだそうだ(笑)。ぐつぐつ煮てしまっては、弦そのものが駄目になってしまうので、比較的低い温度で煮ると、かなりの程度で生き返るらしい(半信半疑)。原理的にいえば、マンドリン属の弦はスチール弦なので、物理的にそれほど劣化するわけではないのかな? 確かに汚れさえ落ちれば、音が生き返るかもしれないが、これってほんとう?(謎)

●ばるとーく・ぴっちかーと【バルトーク・ピッチカート】

 ハンガリーの作曲家ベラ・バルトークが開発した(?)ピッチカート奏法のひとつ。弦を垂直にひっぱって指板に叩き付ける。マンドリン合奏でもこの奏法ができなくはないが、多くの奏者は「楽器がかわいそう」といって、この奏法を極端に嫌う。とくにギター奏者の9分9厘は、この奏法が大嫌い(笑)。しかし、楽器の音色が少ないマンドリン合奏では、楽器を叩いたり、バルトーク・ピッチカートのような雑音系の奏法は、けっこう効果的だと思うぞ(本当)。ちなみに、バルトーク・ピッチカートと同じく奏者から嫌われやすいコルレーニョ奏法(col legno)ならば、マンドリン属でも簡単。ピックの裏側を使って弦をたたきます(大嘘)。

●ふらじおれっと【フラジオレット】

 左手で一つの音を押さえて、同じ弦を別の指で軽く触れハーモニクス音を出す奏法。ヴァイオリンでは、チゴイネルワイゼンやカルメン幻想曲など、ごくごくあたりまえに出てくる奏法だが、マンドリンでは、これはまったく実用にならない。マンドリンでは、フラジオレットに代わって、右手の中指(もしくは人差し指)で弦を軽く触れてハーモニクス音出す、技巧的ハーモニクスが唯一可能な奏法。例えば、E線のGの音(3フレット目)の音ならば、右手の中指で15フレット(3+12フレット)を軽く触れてピッキングすると1オクターブ高いハーモニクス音が出てくる。ただし、これは単打奏法のみ可能であり、トレモロ奏法では、ハーモニクス音はまったく出せない。

●あしだい【足台】

 楽器を支えるために、マンドリン属では多くの奏者がこの足台を使う。クラシックギターで使われるものとまったく同じで、高さが3段階くらい調節できる。マンドリン、マンドラでは右足に使うが、マンドロンチェロでは左足に使う人も多い。プロのマンドリニストの大半は、この足台を使っているが、彫刻を施した高級品を使っている人は少ないかも(笑)。ちなみに足台を高くすればするほど、楽器をお腹で支えることになり、どんどん猫背になっていく(笑)。で、ぢつは当方は、足台を使わない人。なぜかって? だって持ち歩くの重いぢゃない?(笑)

●ねこぜ【猫背】

 マンドリン属は、胴が丸いため(ラウンド楽器という。カントリーなどで使われるのは、胴が平らなフラット楽器。)、抱えたときの安定性が極めて悪い。これをお腹、右足もも、右ひじ裏側の少し先、の3個所で支えることになるが、楽器を身体の奥深く抱えれば抱えるほど、あるいはももの高さが高ければ高いほど、ひじを前に出せば出すほど、どんどん猫背になっていく(本当)。当方は、これはみっともないと思ってしまうのだが、世の中のマンドリニスト(ドラ、チェロなども含む)の大半は猫背で演奏している。感覚的な話かも知れないが、猫背になればなるほど楽器の表面がどんどん下を向くことになり、音が遠鳴りしない。できるだけ、背筋を伸ばして、音を斜め上45度くらいに飛ばすような感覚がいいと思うが、さて、いかがでしょうか?

●はくはくする【拍々する】

 正拍を必要以上に強調してしまうために、リズムが極めて不自然になる現象。マンドリン属では、正拍は、単打であろうがトレモロであろうが、ダウンピッキングするのが通常であるため、無意識のうちにこの拍々病にかかってしまう。正拍が強調されるのは、リズムの基本であって、決して間違いではないが、マンドリン属の場合、その直前の音を力の弱いアップピッキングで行う場合が多く、ビートの直前で音が瞬間的にふっと抜ける状態になる。この後にアクセントのあるダウンピッキングが来ると、極めてストレスの溜まるリズムになるので要注意。ビデオなどでマンドリン演奏を見ると、多くの奏者がこの正拍で必要以上に頭を動かし、いわゆるうなずき病に陥っている。これに一度でも気づいてしまうと、もう音楽どころではなくなるので、声を大にして注意喚起したい(本当)。ちなみに、当方、このことをジュネス演奏会で、指揮者の国分誠先生に嫌というほど叩き込まれた。

第3版既存公表分

●CoMando【コ・マンド?】

 米国で活発なマンドリン音楽専用のメーリングリスト。LISTSERV@VM1.NoDak.EDUにSubscribe CoMandoのメールを出すと、きっと登録してくれる。MLの自動登録を行なったことがない人は、詳しい人にやり方を聞いた方がベター(苦笑)。英語でよければ、こちらをご参照ください。で、以前、当方が参加していたときには、一日20通くらいのメールが来ました。学生さんの会話が大半で、「ギブソンのなんとかってマンドリンがどこどこでいくらで売ってた」とか、「べっ甲のピックを入手するには?」などなどがありました。つわものになると、メール上にタブ譜を書いて、新しいフレーズ作りましたってのもあったぞ(笑)。ちなみに、米国マンドリン業界(といってもブルーグラスとかが大半ですけど...苦笑)の詳細は、Mandolincafeまでどうぞ。あ、もちろんすべて英語ですのであしからず。

●腕弾き【うでびき】

 マンドリン属でトレモロ奏法を行なうとき、右手首を柔らかくして手首から先を上下させる方法と、手首を曲げずにひじから下を上下させる奏法がある。腕弾きはこの後者のこと。奏法上の優劣はよくわからないが(苦笑)、マンドリンなど比較的小さい楽器の場合、腕弾きにすると楽器ごと動いてしまうことがあるので注意が必要。チェロやローネのような大きな楽器の場合は、この腕弾きをしないと弦の張力に負けてしまう場合も多々ある。

●ひっとぽいんと【ヒットポイント】

 打楽器では、叩く場所によって、音の鳴り方(共鳴、余韻)がドラスティックに変わることは良く知られた事実だが(ですよね...笑)、マンドリン属でも注意して聴けば、弦のどの辺をピッキングするか、どのような角度でピックを打ち付けるか、という微妙な試行錯誤の中で、楽器の共鳴が1ランクあがる(よく鳴る)部分があると思う。当方、このことをこわーい先輩達から教わったが(笑)、今ではまさにこの通りだと感じている。この感覚は打楽器とまったく同じであり、従って当方、「マンドリンは打楽器である」と確信している(笑)。

●びぶらーと【ヴィブラート】

 マンドリニストがロマンチックな曲を弾こうと思うとき、必ずといっていいほど立ちふさがる奏法上の問題点(苦笑)。少なくともトレモロ奏法を行なっているときは、マンドリン属でのヴィブラートはほぼ不可能です。単打奏法の場合も、ソロで弾いているとき以外は、それほど明確な効果がなく、マンドリン合奏では、音楽表現上、極めて重要で一般的なこの奏法が、意識的に無視されてしまいます(苦笑)。代わりに右手のピッキングと左手の運指を効果的に組み合わせることで、なんとか表現しているというのが実状。なお。ギタリストが低いポジションのときに行うヴィブラート(弦を細かくチョーキングするやり方)を行うと、複弦のいずれかのチューニングが狂ってしまいますから、あまりお勧めしません(笑)。

●弓順を揃える【ゆみじゅんをそろえる】

 マンドリン合奏では、まったくといっていいほど聞かれない言葉(そうでもないか?...笑)。マンドリン合奏の場合、小規模なアンサンブルを除けばコントラバスが何本か入るのが普通だが、マンドリン業界出身の指揮者は弓順に関する知識をほとんど持ち合わせておらず(苦笑)、通常はベースパート内ですべて処理される。マンドリン合奏では、これに代わり「(ピッキングの)アップとダウンを揃える」といわれる。弦オケと同様、フレージングが左右されたり、アップとダウンが不統一では見た目にも不自然、などの問題があるためである。

●ぱーれす/ぱーれん【パーレス/パ−練】

 どうも地域や学校によって呼び名が違うらしいのですが(笑)、各パートごとに練習することです。通常はパートトップがメンバーと向かいあって、鉛筆、ボールペン、指揮棒、根性叩き棒、手拍子、などを叩きながらテンポをとって合わせます(笑)。叩かれる場所は、譜面台か机。譜面台と鉛筆の組み合わせでは、完全に鉛筆が負けますので、スペアを何本も用意すること。あまりにもみんなが弾けなかったり、練習をサボっていると、トップは強権「じゃ、そこ一人弾きね」を発動しますので、くれぐれもご注意を。そうそう、某高校では、ラスパーというものがあるそうな。クラブ活動最後のパート練習のことで、メンバーがトップに1年間のお礼をいう儀式なのだそうです。そりゃ、もうウルウル状態らしいですぞ(謎)。なお、マンドリンオケでは、あまりセクション練習というものはありません。もともと弦パートだけだからですね(お約束)。

●しゃふみす【写譜ミス】

 マンドリン業界では、手書き譜面が大半なので、当然スコアからパート譜を作成する際に写し間違いが発生します。問題は、なかなかこれに気がつかないことなんですよね(苦笑)。もともとの出版譜面にも間違いがあったりもして、それがスタンダードになっているなんて笑い話もあったりして...この辺の苦労話は、愛のミュージシャンささざき氏がこちらで書いておりますのでご参考くださいませ。

●はっちゃん/はっとりただし【服ちゃん/服部正】

 慶応義塾マンドリンクラブの育ての親、服部正先生の愛称。服部先生は、ラジオ体操第1の作曲家としても著名。学生時代よりマンドラを演奏し、1930年に慶応マンドリンクラブの指揮者に就任、同年、オルケスタ・シンフォニカ・タケヰ主催の作曲コンクールで「叙情的風景」が入選、職業音楽家への道を歩んだ。三井生命を数ヶ月でやめ、菅原明朗氏に師事した話は、KMCメンバーなら誰でも一度は聴いたことがあるはず(笑)。主要作品は、映画音楽「次郎物語」、NHKテレビドラマ・テーマ「向う三軒両隣り」、国民オペラ「手古奈」など。1908年3月17日生まれ、国立音楽大学名誉教授、日本マンドリン連盟副会長など。現在、原宿在住。なお、服部先生作品を演奏する際には、著作権が発生しますので(たぶん)、著作権協会にお問い合わせ下さい。

第2版既存公表分

●ちゅーなー【チューナー】

 最近では、音叉を使ってチューニングする人がまったくいなくなりましたねえ(本当)。ということで、この文明の利器の個人普及率は、8割を超えたとか(嘘)。最近の技術進歩は著しく、ピックアップを使ってメータでいとも簡単に合わせられるようになりました。でも、電源入れてから、ちゃんとピッチを確認してくださいね。関東地方のマンドリン業界では、現在A=442Hzがデフォルトのようです。ちなみに、当方、はむらぼは、あいも変わらず、昔乍らの442音叉@600円くらいだった(笑)、を愛用していますです(本当)。

●にほんあわせ【二本合わせ】

 マンドリン属は複弦なんで、チューニングは二つのステップがありまして、はじめに各弦を1本ずつ合わせて(マンドリンでいえば、通常A−E−D−Gの順です。これはバイオリンなどと同じですね)、2本のうち上の弦を一通り合わせたら、それに下の弦をあわせる二本合わせという作業が必要になるのです。したがって、4つの音なんですけど、合わせる音は8つになります。で、演奏会本番などでは、各自がチューニングするわけではなく(!)、たいていはマスター楽器を調律する人(大半はコンマス)がいて、それにそれぞれの楽器を1本ずつ調律する人、できた楽器の「二本あわせ」をする人、というように分業体制ができています。これは、フレット楽器の宿命で、個々人でピッチを直すことが極めて困難なため、耳が良く演奏技術の優れるコンマスなどに、調律を一任したほうが、きれいなサウンドが出せるためなのです。もっとも、これは学生オケの話かな?

●まくあい【幕間】

 通常のオケなどの演奏会では、幕間は聴衆にとっても、演奏者にとっても一息つく場なんですけど、マンドリン業界では、一部の人にとっては、それは戦場です(本当)。フレット楽器の宿命で、演奏しているうちにピッチが狂ってくることが日常茶飯事。とくに本番など、真新しい弦を使っている場合には、それこそ半音近く音が下がることもあります。このピッチ修正を10分か15分という短時間の間で数十台のチェックをすること、これこそが幕間で行われている作業なのでした。

(注)「まくま」と読むのは間違いのようです!

●はおんふ【ハ音譜】

 マンドリン業界は、高校や大学から初めて音楽に接する人が多く、専門の音楽教育を受けている人はごくわずかです。したがって、ハ音譜面を読めない人も多く、カルテット曲などを演奏する場合は、たいてい読みやすいように、1オクターブ低いト音譜に書き直すケースが多いです(たぶん...笑。あるいは、カルテット曲なんて、あまり弾かないのかな?)。マンドロンチェロでも、ときどきハ音記号が出てくることもあるのですが、バイオリンチェロと異なり、実用的な高音域はそれほど高くなく、あまりハ音記号のお世話にならない場合が大半です。ちなみに、マンドリンオリジナル曲では、ファルボなど一部の作曲家を除き、この記号にお目に掛かることは少ないです。もっとも、マンドラ・コントラアルトという、ビオラと同じ調律の楽器もありまして、これでは常用されています。

●くりまん【クリマン】

 中央大学マンドリンクラブのOBなどが中心となって結成したクリスタル・マンドリン・アンサンブルの略称。結成以来、マンドリニストの青山忠さんが、コンサートマスターを務め、オケを指導されている。一貫して、アンサンブルの妙味を追及した団体で、ぢつは指揮者よりもオケの方が発言力を持っている?(笑)。本拠地、東京は武蔵野市民文化会館小ホール(ここは音響がとてもよいホールなのでした)での演奏会が定着しており、98年は14回目の演奏家が3月15日に行われる(詳細はこちらで)。メンバーは、1st(6)、2nd(5)、Md(6)、Mc(3)、Gt(6)、Cb(1)、という中規模編成。打楽器と管楽器を否定しており(笑)、その割にはビゼーなどを取り上げ、編曲者はむらぼ(笑)を泣かせている。

●おざしき【お座敷】

 誰が言い出したのか分かりませんが、小編成で小遣い稼ぎ(笑)に行う出張小演奏のこと。今では結婚式での出張演奏が大半だと思いますが、昔の慶応マンドリンクラブ(KMC)では、能丸先生(!)のお座敷や三越お座敷、ロータリークラブなどなど、ずいぶんとたくさんの出張演奏がありました。で、何年に一人くらいの割合で、お座敷の女王と呼ばれる名物プレイヤーもいたんですよ(笑)。専用のお座敷譜面には番号がついてて、「チャルダス」とか「エデンの東」「丘を越えて」「学生王子のセレナーデ」などなど、ほとんど譜面を見ずにさらさらと弾ける人がね(本当)。で、お座敷には事件がつきもので(笑)、即興演奏だとか、どこかの社歌なんかを突然弾かされたりしまして、結構、度胸付けには格好の場だったんですよ(笑)。

●おくたまくゎるてっと【奥多摩くゎるてっと】

 愛のミュージシャンささざきゆづるがプロデュースするお気楽バンドのことで、正式には、「物好きな5人組、ささざきゆづると奥多摩くゎるてっと」と称する。1992年に結成され、マンドリン2、マンドラ1、マンドロンチェロ1、ギター1という5人の編成となっている。面白いこと、羽目をはずすこと、そして何よりも「目立つこと」が大好きなメンバー(もともと跡見女子短大マンドリンクラブのコーチ陣)で、そのこだわりようは、半端ではない。演奏技術でいえば、チョーキング、バルトークピッチカート、駒の裏側を弾く、弦をピックでこする、同じ弦で2つの音を出す、ボトルネック、などなど、良い子のみなさんは絶対に真似をしてはいけない。ちなみに、この奥多摩、3つの演奏形態があり、スーパーライツ編では、「超絶特殊技法をい使える曲であること」「そこそこ有名な曲であること」「よくできた曲であること」という厳しい3つの掟がある。なお、奥多摩は、現在、跡見マンクラのOG団体であるエバーグリーン・マンドリン・アンサンブル(EME)のエバーグリーンコンサートでのみ、神出鬼没コンサートを開いている。言い忘れましたけど、当方、はむらぼは、この奥多摩くゎるてっとではドラを担当していますです(宣伝系)。

●いすぱにあ1000かいびき【イスパニア1000回弾き】

 慶応マンドリンクラブ(KMC)では、アンコールピースとして、必ずマルキーナ作曲の「イスパニア・カーニ」という曲を演奏するのですが、この冒頭部分がスチール弦ギターのラスゲアードで始まります(EEE,EF,FFF,GF,EEE〜というコード進行)。で、KMCのギターパートに入ると、まず練習するのがこの部分なのでして、はむらぼの出身高校である某慶応S高では、夏の初めての合宿に、このイスパニアの冒頭フレーズを1000回繰り返して練習する恒例行事があったのです!!(笑)。OB達は、このイスパニア聴いて、今年の1年生はどうだこうだ、と品定めをしていたのでした(笑)。ラスゲアード奏法は、右手を結んだ状態から、小指から薬指、中指、人差し指を順々に開いて弦をかきむしる奏法で、フラメンコなどでは必修ですね。で、KMCではスチール弦を使っていたので、下手をすると爪を吹き飛ばすなど、ぢつは大変危険な奏法なのでした(笑)。

第1版既存公表分

●まんどりん/まんどりんぞく【マンドリン/マンドリン属】

 イタリアの發絃楽器で、金属製の弦をべっ甲などで作られたピックではじいて音を出す。弦はいわゆる複弦であり、同じ音程に調律された2本を同時に弾く。ピックの素早いダウンアップで音を持続させるトレモロ奏法と、単打(シングルストローク)奏法、ピッチカート、ハーモニクスなどに分けられる。

楽器の種類
 マンドリン属には、音域の違いから、クワルティーノ、マンドリン、コントラアルト、マンドラテノール、マンドリュート、マンドロンチェロ、マンドローネなどがあるが、通常は、マンドリン、マンドラ、マンドロンチェロを用いる。詳細は、とてもここだけでは解説できないので(笑)、とりあえずはこちらのアメデオリンクをたどってみてくださいませ(他力本願)。

楽器の構造
 楽器の胴が丸いものをラウンド楽器、平らなものをフラット楽器というが、米国でカントリー音楽などに用いられるのは、ほとんどがフラットマンドリン。当方、はむらぼが属する日本のマンドリン業界は、ラウンド楽器がメイン。

楽器の値段
 いろいろなメーカーがあるが、入門編では、スズキのマンドリンなどが数万円から入手できる。学生マンドリンクラブや社会人団体、プロのマンドリニストが使っているのは、日本製では10〜100万円というレンジ。落合、石川、加納、島田、などのメーカーがある。輸入ものでは、カラーチェ、エンベルガーなどがあるが、詳細は良くわからない(苦笑)。ピックは、べっ甲製で1枚1000円未満。使い方にもよるが、たいてい一人あたり5〜10枚程度のピックを持っているはず(!?)。紙やすりなどで削って何年も使いつづける猛者もいる。弦は、ドイツのマキシマ、オーストリアのトマスティークなどから出ているが、1セット(8本)数千円で入手できる。

●まんくら【マンクラ】

 マンドリンクラブの略称。決してマンドリン暗いと読んではいけない。10名前後からのアンサンブルで、クラシック曲(マンドリンオリジナルを含めて)を中心に演奏するマンドリン合奏は、世界的にはドイツ、イタリア、オーストラリアなどで盛んだが、日本のアマチュア・マンドリン・オケの数たるや、群を抜いていると思われる。

●ぎたまん【ギタマン】

 ギター・マンドリンクラブの略称。この逆のマンギタ(マンドリン・ギタークラブ)は、おそらく存在しない。

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(注)なんでも甲南大学のマンドリンオーケストラは、「甲南大学マンドリンギタークラブ」というそうです。これなら「マンギタ」だね(笑)。なかやまさん、情報どうもありがとーごさいました(喜)。(98/12/8 加筆修正)

●だいけん【大謙】

 千葉県岩井海岸の民宿大謙館のこと。24時間音が出せるので、業界では多くの団体がお世話になっている。自慢のイケスは、88年頃に導入したものと思われる。かつては塩カレーが有名であったが、最近ではずいぶんと味も改善された。女将は、割烹着がとっても似合う川崎一枝さん。人使いは荒いが、根はとっても優しく人情派。97年春には待望の初孫が生まれた。なお、鉱泉が自慢のお風呂は、男風呂にも女風呂にもイスがないため、自宅から持参すると便利。ケロヨンの洗面器をイス代わりにすると、おしりに丸く跡がついてしまうのでご注意を。なお、大謙館の周辺には、岩井館などいくつかの関連の民宿があるようだが、利益の根源は、同住所所在の有限会社大謙建設とみた(笑)。

●さんべえ【SUN・BAY(三兵衛)】

 千葉県岩井海岸の合宿場、三兵衛のこと。大謙よりも100メートル程度岩井駅寄りにある。お風呂は離れにあるため、風邪を引かないように注しすべし。練習場入り口の自動販売機は、11時以降でも缶ビールを売っているため(おいおい...^^;)、深夜の宴会にはとっても便利(喜)。食事は、かなりのレベル。収容人員が大謙より少ないのが、大規模オケにとってはきつい。

●ほんごうかん【本郷館】

 東京水道橋にある旅館。アメデオやエバーグリーンなどの団体が、演奏会終了後の泊りがけコンパでよく利用する。駐車場がないので、営団地下鉄丸の内線の本郷3丁目を利用すると良いが、楽器と差し入れを持ち運ぶのは大変なので、お車のお友達@あっしー君(死語)を捕まえると良い(笑)。でも、この案内の写真見ると、なんだかイメージがずいぶん違うぞ(笑)。で、もひとつ良く使われる朝陽館本家へはこちらからどうぞ。朝陽館には駐車場があるが、別料金なのでご注意を。

●いけがく【(株)イケガク】

 東京西池袋のマンドリン専門楽器屋さんで、97年に(株)いけぶくろ楽器から独立した。西池袋3丁目で芦沢ビルの3階で、以前のいけぶくろ楽器のすぐそば。このビルの1階は、「とんぼ」というトンカツ屋さん。味は結構おいしかった記憶がある。マンドリンメーカー落合の正規代理店で、譜面販売、マンドリンレッスンなどを行なっており、慶応マンドリンクラブの譜面は、ここが管理している。日曜日が定休日。社長は、麻雀の得意な南条さん@元いけぶくろ楽器専務。もともとバイオリンの製造を行なっていたらしい。このほかに、H之江さん、S谷君などの社員さんがいるが、S谷君は、あちこちの演奏会に出没するので、ご存知の方も多いかも。はむらぼ企画の大半の情報は、ここから入手している。

●ぐりーん【グリーン】

 (株)イケガクより徒歩3分、立教大学横の雀荘。現存しているかどうかは定かではないが(笑)、以前は大変よくお世話になった!? 

●いーせん【E線】

 4本あるマンドリンの弦の中で(それぞれが複弦になっているので実際には8本ある)、一番細くて高い音のする一番線のこと。マンドリンは、バイオリンと全く同じ調律で、低い方からG−D−A−Eと調律されるが、業界ではなぜか「えーせん(ドイツ語読みのE)」とは呼ばれず、それぞれ「げーせん(G線)」「でーせん(D線)」「あーせん(A線)」「”いー”せん(E線)」と呼ばれる(笑)。中途半端にドイツ語を習った人が、マンドリン業界には多いため(うそ)。

●つぇーせん【C線】

 マンドロンチェロ(Mandoloncello)の一番低い弦のこと。太いピアノ線が二本もあるような弦であるため、その取り扱いは素手では無理。必ずペンチを利用しないと痛い目にある(半分以上、本当)。張り替えたばかりの弦では、音がジャミジャミする。

●げんをきる【弦を切る】

 初心者はチューニング時に、中級者は本番の白熱した演奏で、上級者は嫌な練習をサボりたいときに、ほとんど無意識のうちに行なう行為。太い弦であればあるほど、周囲からの尊敬を受ける。マンドリン属は複弦のため、二本のうち一本が切れても基本的には演奏が可能だが(うそ)、張力が強いため弦が切れてもびっくりしないことが不可欠。とーぜん、音色や音色は変わってしまいます。でもそれ以上に、音程が怪しくなるんだよな(笑)。

●しゃふ【写譜】

 指揮者や編曲者が作成したものか、もしくは学校に古くから伝わるぼろぼろのスコアなどから、各パートごとに譜面を書き写すこと。ドイツなどを除いて、現存のマンドリンオリジナル出版社が数少なく、クラシック音楽からの編曲も多いマンドリン業界では、譜面は手書きが原則。しかし、学生など音楽を始めて数年しかたっていない素人がこの作業を行ない、さらに各パートごとに作業する人が異なることも多いため、練習の大半がこのパート譜面の間違い探しでつぶれてしまう(本当)。また、素人の中には、小節線を均等にふる人も多く(音数が多かろうと少なかろうと、例えば1段を必ず5小節に分割する)、譜めくりの気配りも皆無のため、初見弾きはやめた方が無難。また、バージョンも数限りなくあり、その度ごとに指揮者などにより譜面が書き換えられることも多い。

●いんさつふ【印刷譜】

 手書き譜が常識化するなかで、異常に重宝がられる譜面のこと。イタリアの楽譜出版社イル・プレットロ社などの印刷譜が有名であるが、出版社が現存しない場合も多く、正式ルートで入手することは至難の技。出版数が少ないため、印刷譜でありながら、音のミスも多い。最近、ようやく国内版の出版譜が出始めている。

●ふぃなーれ【フィナーレ】

 関東地区のマンドリン業界でデ・ファクト・スタンダードとなっている(!?)譜面作成ソフト。米国CODA社の製品で、現在本国ではFinale97が発売されている。譜面作成機能としては、ほとんどトップクラスで、さまざまな機能があり自由な譜面を作成することができる。WindowsとMacとは完全互換性を保っているが、ファイル変換などが必要。この操作をすると、かなりファイルが重くなるので、メール等でのやり取りは避けた方が無難(笑)。スコアで数十ページ、音数が多ければ多いほど、1.4Mのフロッピー1枚では収まらなくなるケースもでてくるのでご注意を。最近では日本語版のマニュアルが添付されるようになったが、市販のノウハウ本もちょっと高めだが発売されている。また、愛のみゅーじしゃん笹崎氏が、きれいな譜面を作成するノウハウをふんだんに盛り込んだ、秘密のメモを作成して配布しているらしい(内緒モード)。

●どらいか【ドラ以下】

 多くの指揮者が暗黙のうちに意識するマンドリンオーケストラの境界線。マンドリンオーケストラでは、ほとんどの場合、舞台下手から1stマンドリン、2ndマンドリン、中央にマンドラ、マンドロンチェロ、ギターという順に並ぶため、ドラ以下とは、ドラ+マンドロンチェロ+ギターのことを指すことが多い。

●たんだ/ぴっく【単打/ピック(ピッキング)】

 マンドリン属(複弦の楽器をべっ甲などのピックではじいて演奏する)の代表的な奏法。(反義語)トレモロ。単音といわれる場合もあるが、これは重音(和音)との区別において使われるため、あまりお勧めできない。単打もピック(ここではピッキングの略か?)も同じ意味だが、マンドリニストの青山忠さんはピックという表現が好き。譜面上、単打とトレモロを指定するケースはそれほど多くなく、演奏上の解釈を左右する大きな要因の一つになっている。たいていは、スラーが掛かっている場合がトレモロ、何もない場合は単打を用いる。単打では、上から下へ打ち下ろす奏法(ダウン)が主流だが、テンポの速い曲や3連符などはダウンだけでは出来ないこともあり、下から上へ弾き上げるアップ奏法が上手いか下手かで、演奏者の力量がわかる。

●たたき【叩き】

 ギターの和音奏法の一種。右手をこぶし状にして人差し指や親指の先あたり(爪を使うケースが多い)で、弦を上から下に叩き降ろす。スチール弦の場合は、音量が大きくなり、アタック音が欲しいときなどは極めて有効。ただし、力が入りすぎると、爪を引っ掛ける事故も続出し、場合によっては命より大事な爪を割り飛ばしてしまうこともある。このためギター奏者は、アロン・アルファが必需品となっている。なお、通常のナイロン弦を用いる奏者にとっては、その奏法の存在を認めたくない、ある意味では邪道な弾き方でもある。(反義語)つまみ。

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(注)大先輩のたちばなさんから、正しいたたきの奏法をメールいただきました(喜)。

「人差し指や親指の先のほうを使って」とありますが、これは間違い。親指は使いません。いや使ってはいけません。そんなやり方をしているから爪が飛ぶのです。たぶん親指と人差し指の腹をギュッと合わせ、手首のスナップを横に使って、人差し指の中指寄りの部分を弦にぶつけるイメージで説明していると思いますが、それでは雑音ばかりで大きな音もきれいな音も出ません。

正しい「たたき」は、

 1.まず人差し指の第一関節(曲がるところ)の少し下ぐらいに親指の腹を当てる。
 2.人差し指を若干曲げ、第一関節より上が弾力性を持って動くくらいにしておく。
 3.手首のスナップは横方向と同時に手の甲側へのスナップを加える。
 4.弦へのあて方は、あくまで人差し指一本の「爪の甲側」(わかるかな)から先に
   向けて動くこと。(これがうまくいかない人は3.のスナップの入れ方をもう一度
   考え直すこと。)そして必ず弦に対して「直角」に指先が通ること。
   (3.がうまくできていれば、必ずそうなります。)
 5.あとはスナップの速度と弦当ての深度を自分なりに調整して、一番いい音が出る
   ようにする。

といった具合ですが、言葉で説明するのって大変ですね。私はというと、この動きができるようになってから「叩き」の音が俄然大きく、通るようになっただけでなく、ただの一度も「叩き」で爪を飛ばすような事態にはなって居ません。だからぜひ、佐藤君のような指導的立場の人から、子供たちに教えてあげて欲しいのです。

 あと、結果的に良いこととして、フォークギターを弾く時にこの動きを導入すれば、きれいに大きな音が出せるだけでなく、ピックが「片減り」しないという大きな(?)利点が得られます。(98/12/8 加筆修正)

●つまみ【つまみ】

 ギター奏法の一種。通常の和音の弾き方。特に親指を除く人差し指、中指、薬指で3和音を弾く場合に使われることが多い。この奏法を指示された場合は、原則としてそれぞれの指は同時に弦をはじかなければならない。人差し指から順々に弾いていく場合には、アルペジオと指定される。つまみでは、物理的に各指はアルアイレ奏法(弾いた直後に指が隣の弦にもたれない)を行なうことになるが、親指だけは、音量やアクセントを置くために、アポヤンド奏法(隣の弦にもたれる)をする場合も多い。このため、リズムの要といわれるギターパートだけが、音の立ち上がりが遅くなる「後ノリ」のテンポとなってしまい、音を引きずることもまま見られる。(反義語)たたき。

●ふれっとおんち【フレット音痴】

 マンドリンやギターなどには、指板にフレットと呼ばれる金属の棒が何本も埋め込まれており、その脇を押さえることによって、正しい音程が簡単に出せるようになっている。そのため、ネックが曲がってしまうなどのトラブルによって、このフレットを通常に押さえても音程が狂ってしまうことがある。この状態をフレット音痴と称して、楽器修理の目安になっている。

●こまなおし【駒直し】

 バイオリン属と同様、弦の振動をボディに伝える重要な役目をもつ駒であるが、バイオリン属以上に、この駒の位置が動くことがある。このため、弦を張り替えたり、演奏会本番を迎えた際には、たいてい駒の位置を微調整することが必要となる。マンドリン属は、フレットがあるために(逆にいうとフレットは動かしようがないので)、これを駒直しの基準にする。通常は、オクターブピッチ(たとえばE線で、12フレットの「ミ」の音と、同じ場所のハーモニクスの音程が一致するかどうか)であわせることになるが、古い楽器では日に焼けた表面板の跡に駒を合わせれば良い、という簡便法も存在する。

●じゅねす【ジュネス】

 本来ならば、JMJという団体(組織)を指す言葉だが(?)、マンドリン業界では7月の青少年音楽祭や3年に1度開かれるJMJコンサート・マンドリン部門の演奏会を指すことが多い。青少年音楽祭では、渋谷のNHKを本拠地に練習を行なうが、この演奏会、せいぜい10名程度の奏者を想定して書かれたと思われる楽曲を、50〜80人ほどの大オーケストラで一心不乱に演奏することも多く、ちょっと近寄りたくない気持ちになるときもある。また、前半のマンドリンの演奏を聴いたら退席する人や、マンドリン部門が終わってから入場するお客さんが多いことも事実。数年前までは、音楽祭が終わるとみんなで楽器を持って寄って、渋谷ハチ公前でいっせいに弾き出すというパフォーマンスが繰り広げられたが、池に飛び込むものも多く、どうやら渋谷警察からストップがかかったらしい(本当)。

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