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はむらぼ音楽講座 演奏会に行った!

はむらぼの辛口演奏会レビュー・2000年

<東京近郊編>

Last Updated.2001/3/23

(注)曲名等は正式表記しておりませんので、ご了承下さい。

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<はむらぼの辛口演奏会レビュー>

神奈川フィルハーモニー管弦楽団第167回定期演奏会

 メトの本番前では唯一@関東地方のベルク生演奏ということで、とるものとりあえず仕事を片付けてホールに駆けつけました。お気楽な奥さんに当日券を頼んだら、1階前列9列目中央という絶好の席をゲット(なんでも定期会員のキャンセルがあったみたい)。ソリストの一挙手一投足までわかる最高の席でした。

 さて、まずは今回のレビューですが、ウェーバーでもなければメインのブラ2でもなく、ベルクのみということでご容赦いただきたく(笑)。7時の開演直前のステージでは、ベースやハープの奏者が調弦をしているのですが、ハープは一生懸命5度をあわせています。ベルクの冒頭メインテーマですね。なんだかとっても気分が盛り上がってしまったのは、ワタクシだけかな?

 いよいよベルク本番、ソリスト矢部達哉が登場しました。あまり背は高くないんですね。ワタクシと同じ年なのですが、ほんとに同い年とは思えない童顔で華奢な姿。緊張しているのか、ほとんど表情を変えませんね。直立不動で演奏が始まりました。決して音量は大きくなく、圧倒的な存在感というわけではないのですが、なんともロマンチックな演奏にはびっくり。2楽章に入って、だんだん気持ちがのめりこんできたようで、少し足を開いての気合いの演奏を聴かせてくれました。

 ワタクシ的には、この曲のCDを、、、そうですね、10種類近くは聴いたでしょうか? そのいずれも、それほどロマンチックな感じを受けなかったのですが、この日の矢部さんの独奏では一音一音のヴィブラートや長いフレーズ感、オケとの対比などに、文字通り「ある天使@マノン」やベルク自身のレクイエムを感じました。CDで聴くのと生演奏を聴くので、こうも雰囲気が違うとは思いませんでした。とくにこの曲については、コンチェルトというよりもヴァイオリン独奏のオケ伴奏曲というイメージが強かったのですが、やはりある程度のヴィルトーゾ的な要素があちこちに散りばめられている古典的な協奏曲の一面もあるということがわかって、とても新鮮でした。

 神奈川フィルの伴奏も佐藤功太郎さんの指揮も、それほど強い存在感ではないのですが、それぞれの役割を過不足なく発揮したという好サポート。ホルンがとても上手だったのが印象的でした。ということで、とても勉強になった演奏会でしたが、一番の収穫は、ソリストでも譜面を見ながら演奏したこと、そして譜めくりをどこでするかがわかったこと(笑)、左手のポジションが自分の考えとずいぶん違ったことなどですね。9月のメト本番に向けて、また新鮮な気持ちになれたことがとてもうれしかった一日でした。

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<はむらぼの辛口演奏会レビュー>

第7回エバーグリーンコンサート

 跡見短大MCのOG、OC(慶応大学から派遣されていたコーチ陣です)が集まって開催してきたエバーグリーンコンサートですが、今回で7回目を数え団体としてのキャラクターがメンバー内だけでなくお客さんにもだいぶ浸透してきたようです。今回は結論からいうと、アットホームな雰囲気を出すことができてとても評判の良い演奏会だったようです。ワタクシもいろいろなパートで参加(笑)。打ち上げには参加できずアンケートも読んでいないレベルでの感想ですが、ステージ上から聞くお客さんの拍手の大きさは、とってもうれしいものがありました(ホールのおかげって説もありありなんですけどね。。。笑)。

 さて、演奏のレビューを、、、といいたいのですが、どうも演奏の印象があまり残っていないんですよ(笑)。良い意味で、どの曲もオーソドックスな演奏スタイルを超えずに、無茶をしなかったという点を積極的に評価すべきだと思います。ま、人によっては、あまり面白味がないってことになるかもしれませんが、身の丈にあった選曲でありEMEらしい演奏であったと思います。

 あえて辛口モードでレビューすると、終曲のシュトラウスですがこれはあまりウィンナワルツらしくなかったかな? この曲ではワタクシ、ギターを弾いていたのですが、一人で浮いていたかもしれません。リズムがどうも取れないんですよね。会場のみなさんはお気づきになったかもしれませんが、メンバーの大半の身体が動いていないんです(苦笑)。もちろん、過度な身体の動きは見苦しいだけでなく演奏面でもデメリットがあるのですが、リズムに乗っていれば自然に身体が動くのが普通ですよね。とくにウィンナワルツのように舞曲として一定のリズムを刻む音楽では、音楽にあわせて自然な動きがでてくるはずです。。。(あれ? ウィーンフィルのニューイヤーなんかはどうでしたっけ? 結構、淡々と弾いているような印象があるんですけど。。。笑)

 これを技術的な視点から指摘するならば、1拍目の強拍@ダウンビートが足りないから2拍目のアップビートが人それぞれになってあやふやになっていたような気がします。スネアのリズムに弦のメンバーが追いついていなかったかな? よくワルツは、「ぶん・ちゃっ・ちゃーー」って2拍目を前に出しますよね? 今回の演奏は、拍をずらすことだけが目的となってしまって、その根本的な理由である1拍目の強拍を十分に感じられなかったことが反省点になると思います。よく勘違いしがちなのですが、これって伴奏パートの問題だけではないんですよね。ワタクシ的にはメロディパートのリズム感が、実は一番重要な気がします。トレモロの回転数や音の立ち上がり、音の長さなどを工夫して、強拍をちゃんと表現できるメロディにすれば、生き生きと前に進んでいく音楽が作れるのに、打楽器や弦のリズムパートだけにこの役割を任せてしまっては、メロディとリズムの乖離が目立つチグハグな演奏になるだけですよね。

 さて、ここまでは当日の「結果」としてのお話。以下、主に出演者に対しての「プロセス面」での辛口レビューです(笑)。アマチュアオケの、しかも回を数える定期的な演奏会という位置づけを考えれば、「何故、演奏会を行うのか?」「何を目的として演奏会を開くのか?」「この演奏会で何を伝えたいのか?」といった質問はそもそも愚問なのかもしれませんが(苦笑)、そうした本質論は置いといて、、今回、一メンバーであるワタクシの認識では、「基礎をしっかりと固めよう!」ということが当初の第一目標であった記憶があります。それがいつの間にか「リリアを満席にしよう!」という目標に変わってしまった。もちろん練習の過程で課題や問題意識がいろいろと変わることはよくあることなのであまり問題視すべきとは思いませんが、今回は練習過程の中で当初の目標がどんどんあやふやにされてしまったような気がしました(ワタクシ的には音楽的な「基礎」だけでなく、団体の運営面や演奏会企画における「基礎」もしっかりしようという目標があったものと思っていました)。口うるさい人がいなかったのかな?(笑) 加えて、「会場を満席にする」という目標ですが、必ずしも悪い目標とは思わないのですが、ワタクシ的にはコンセプトとしての本質的ではないような気がしました(メンバーの中には、これは「スローガン」であって「目的」ではないという人も出てきそうですね。それならば、真の「目的」「コンセプト」はなんだったのかな?)。

 言葉足らずでいろいろと誤解を生むかもしれませんが、「結果的に」満席にしたいというならばわからなくはないんです。大勢の前で演奏したい、予算的にチケットをたくさんさばきたいなどの台所事情も場合によってはあるでしょう。こうしたことを重々承知の上で、あえて言うならば、このコンセプトは「お客様」に「どのような価値を提供するか」という視点が抜けている「一人よがりな目標」のような気がするんです。団体内部向けの目標をこうした公の場で暴露すること自体、メンバーから反発を受けるような気もしますが(苦笑)、それならば胸をはって対外的にアピールできる「表」の目標やコンセプトが欲しかった。

 打ち上げ時に某メンバー氏が発言したように、例えば初めから「日本一アットホームな演奏会をめざす」のならば、それはそれで十分に評価できるものだと思うんです。あるいは当初の「基礎を固める」から発展させて、「基礎のしっかりした演奏を聴いてもらう」という目標ならば、お客さんもそうした面での満足感を得られたのではないかな? そしてそれらの目標を実現するために、いろいろな試行錯誤が繰り返されたり、さまざまな形でレビューし合うというプロセスが大事ではなかったのかな? 今回は、どうも多くのメンバーが思考停止状態になってしまって、目前の大きな課題から目を背けてしまったような気がするんです。

 ということで、これらはあくまでもワタクシ一人の意見。アンケート等で見られるように好意的な評価もたくさんあるので、どのような意見を信じるかはメンバー一人一人の真摯な反省次第かもしれませんね(笑)。そして望むらくは、次回以降もメンバー集めに苦労せず、今回同様、大勢のお客さんの前で納得のいく演奏ができることを願ってやみません。それにしてもよその団体のみなさんは、こうした「演奏会の目標や目的、コンセプト」といった難しい問題を、毎回毎回あまり真剣には考えないのでしょうかね? それとも一生懸命、試行錯誤を繰り返して、苦労しながら演奏会を乗り切っているのでしょうか? もちろん団体十色でしょうけど、いろいろなご意見を聴いてみたいものですね。

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